FP相談室 第6回 ケアハウスのこと

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 先日、市営住宅を申し込んでいたが抽選から外れたという人と、住まいの話になりました。「いわゆる高齢者施設は自分にとってお金を払いきれないと思うから、今まで少しも知ろうとしていなかった」と言うのです。「時々新聞のチラシに入ってくる新築の「サ高住」は14・5万円の金額だし、新聞の広告欄の有料老人ホームはもっと高いので無理!」とも言います。経営する側からは適正な採算ラインでも、入居を検討する側からは高い壁で「無理!」と思ってしまっても仕方のないことでしょう。

公的な施設は、各々に入居条件があり希望すれば入れるというわけにはいきません。「特別養護老人ホーム」は介護度が高く緊急性のある方から入居、ですし、「グループホーム」は認知症の人でなければ入ることはできません。

「お金の余りない普通の高齢者はどうすればいいの?自宅は維持にお金がかかりすぎるのでアパートに入ったが,家賃が安い市営住宅を希望している」と言うのです。ケアハウスのことは知らない、と言うので概略を説明しました。

「自立している65歳以上の人で、食事を作るのが大変になってきた人、費用は収入によって差があり、年間で100万円の人もいれば200万円程度の人もいる、介護が必要になれば他に移らないといけないかも、入居希望者は申し込んでから順番待ちだから速く申し込むようよ」と。

 民間の「有料老人ホーム」は費用が概ね高いので、契約の段階で、あるいは契約以前の段階で断念する方が多いかもしれません。「サービス付高齢者住宅」(サ高住)は現在民間が運営でき、また、公的な指導や監視のある高齢者のための住宅ですが、採算ラインからそれなりの金額になってしまうようです。施設をもう作らないという政府の方針で誕生した「サ高住」ですが、低所得の高齢者にとって利用できないことが分ってきました。

 市営住宅だけでなくケアハウスにも申し込んだらいいよ、とアドバイスしましたが自宅やアパートなどで、がんばって独居で暮らす高齢者が増えてくるのでしょうか。

 介護を必要としたときに、回ってくる介護ヘルパーを頼り、いつ入居できるか分からない公的な施設に申し込みをして待つ、と言うことになるのでしょうか。地域で暮らせ、という政治の流れが何とも虚しく響いてきます。介護を考えるとき、住まいと介護の問題は切り離すことができないと思うのでこれからも継続して考えていくことにします。